書籍情報


会計不正―会社の「常識」監査人の「論理」

会計不正―会社の「常識」監査人の「論理」 image 著者浜田 康
価格2520 円
ISBN9784532313944
出版社日本経済新聞出版社
出版日2008年3月
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カスタマーレビュー (全 4 件 平均評価:)

監査を考える際に、有用な一冊    評価:
著者は、中央青山監査法人を経て、あずさ監査法人代表社員の浜口康氏。本書は、いわば会計不正と戦う監査人の立場から、会計不正の要因や背景を分析した上で、会計不正防止のための提言を行う一冊である。 内容は、大きく前半部分と後半部分に分けることができる。 前半部分では、なぜ、会計不正が行われるのか。なぜ、監査人は不正を見抜けないのか。こうした会計不正・監査不全といった問題に対して、会計不正の具体例や監査の知識を交えながら体系的に論じる。 一方、後半部分では、どうすれば不正を許せないシステムを構築できるのか。監査人は会計不正にどう対応すべきか。こうした問題に対して、事例や指針にそって提言を行う。長年の経験から紡ぎだされた提案は、きわめて重要な示唆を与える。 公認会計士の方々はもちろんのこと、その業務に関心のある方々まで、内部統制時代における監査のあり方を考える上で有用な一冊である。

監査人の論理がよく分かり、明晰な論述で読み応えがある    評価:
中央青山監査法人の解体に至る渦中に居て同僚の逮捕を間近で経験された著者が、会計不正に正面から取り組み、原因分析と対策をきっちりと論述されており説得力がある。 カネボウ事件を含む著名な会計不正事例4例が簡潔に分析されている。「会社のために」の言に潜む会社人間の「非常識」と会社が社会的責任を果たすために必要な「常識」が明瞭に分析・論述されており有益だった。監査人に接する機会があまりない人には、「会計監査」の全プロセスの説明が理解に役立ち、監査人がどのような「論理」で監査に臨むかもよく解る。 不正・誤謬の防止・発見を阻害する要因が列挙されている。監査基準の動向とIT統制の進化により監査のあり方が今後大きく変化していくことを予感させる。会計不正における監査人側の問題点が真摯に語られ、現行法や監査基準のもとで監査人が何に悩み、何に限界を感じているかも理解できる。現行の監査法人の持つ落とし穴も率直に言及されていて、好感を抱いた。 不正を許さないシステムへの著者の対策提言には、関係諸機関が積極的に耳を傾け、速やかに検討し導入して欲しい。(現状では、ちょっと悲観的...) 監査人自身の対策は、現場・現物でクライアントのビジネスを理解すること、論理的に思考し行動すること、という基本への回帰提言である。会社側も本業・創業理念への原点回帰、社会的責任の実践が必要なのではと本書から思った次第だ。 何よりも監査人は「良い監査は良い財務体質を作り、良い財務体質は強い企業体質を作る」という信念をもって監査を行うべきです。−−−この巻末の一文はずしりと重い。

日本の組織の「閉鎖性」セクショナリズムについて    評価:
 カネボウ事件や他の不正事件に関連した書籍は多数出版されているが、浜田氏によるこの書籍は、その問題提議の論点の明快さと財務会計の専門家以外にもわかりやすく会計監査の具体的手順を説明している点で、広く学生から社会人までが日本(の企業)で起きている問題点を今一度考えるために一読すべき書籍であると思う。  同氏が第2章「経営者はなぜ会計不正をするのか」で指摘している企業や組織の「閉鎖性」や「集団愚考」は、決して新しい指摘ではない。しかし、この組織の閉鎖性、セクショナリズムが監査法人内にも存在することが、監査人が会計不正を見逃す理由のひとつであるという指摘により、さらに身近な地域社会、職場、学校と、セクショナリズムによる歪みが日本のいたるところで蔓延している事実を改めて思い知ることとなった。  仲良しグループは居心地が良い。しかしその(表面的な)仲良しを維持するには、我慢や「見て見ぬふり」も必要である。私たちは、監査人でないにしても、過度の居心地の良さを求めることなく時には孤独に耐える覚悟も必要であることを実感する読後であった。

監査の現場から会計監査とは何かを徹底的に考察    評価:
本書は、単に会計不正の事例を紹介するものではない。また、教科書な監査理論を説明するものでもない。浜田氏の監査人としての経験や様々な事例から、帰納的に会計監査のあり方を理論化しようと真剣に試みたものである。従って、浜田氏の独自の理論や解釈が多く含まれる。 私自身「会計監査とは何か」について自分なりに考えてきたつもりだが、この本を読んでハッと思った。何故なら、私が自分なりに持っている価値観は、浜田氏とほぼ同一のものであったからである。それはやみくもに監査報酬の増額を志向するような監査人とは異なる価値観であり、会計不正を絶対に許さないという監査人の「のれん」が監査報酬を生み出しているという前提に立つ価値観である。 第1章のカネボウ事件等の各会計不正事件の分析は極めて理論的。第5章「監査人はなぜ会計不正を見逃すのか」は、現場を知る者からすると生々しいほど冷静的確である。監査論の教科書には書かれていない「生きた監査論」がここにある。会計監査に従事する公認会計士ないしはそれを志す方、関心がある方に強くお薦めしたい書である。 一つだけ批判を書かせていただく。浜田氏が中央青山の代表社員であったのは事実である。粉飾を起こした会社に関与していなければ責任がないというわけでもなかろう。本書の内容が素晴らしいだけに、その点についての反省がないことは残念である。

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